問診
数年前から更年期に伴う不調が出始める。
最初は顔の火照りから始まり、ここ最近はイライラしやすく動悸や不眠にも悩まされている。
病院で検査を受けるも特に異常はみられず「更年期によるホルモンバランスの乱れ」と説明を受けた。
薬の服用には抵抗があり、できるだけ自然な形で改善したいとのことで鍼治療を希望して来院されました。
検査・治療方針
以前から首肩コリの自覚はあったとのことで、首肩から背中にかけて強い筋緊張を確認。
自律神経のバランス調整を目的に、筋緊張が強くみられた
①胸鎖乳突筋
②頭半棘筋
③後頭下筋群
を中心に、頚部〜背部にかけ広く治療を行いました。
初めての鍼治療とのことでしたので細めの鍼を使用し、緊張感の出ないよう治療を進めました。
治療の流れ
1回目:治療後に肩・首のコリが軽くなり、呼吸がしやすい感覚が出る。夜は少し眠りやすくなる。
3回目:動悸の頻度が減少。不眠はまだあるが「寝つきやすくなった」との感想。イライラ感も以前より和らいだ気がする。
5回目:動悸はほとんど感じなくなり、夜も中途覚醒が減る。
10回目:不眠・動悸・イライラといった症状は大幅に改善。現在は再発予防・体調管理を目的にメンテナンスを継続中。
考察
更年期の時期は女性ホルモンの急激な変化によって自律神経が乱れやすくなり、動悸・不眠・イライラといった「不定愁訴」が出やすくなります。
多くの場合、「更年期のホルモンバランスの乱れ」と一言で片付けてしまい症状に合わせた対処療法やホルモン療法などが一般的だと思いますが、実際に自律神経を整えることはホルモンバランスの乱れを整えることにも繋がります。
今回のケースでも、首〜背中の筋肉の緊張を鍼治療で緩めることで自律神経が安定し、動悸や不眠、精神的な不調が和らぎました。