問診
慢性的な腰痛があり定期的にぎっくり腰も繰り返している。
前回は2ヶ月前に数日動けないほどの強い痛みを経験。
長年(20年以上)、週5回の筋力トレーニングを続けており、それが腰への負担になっているのではないかと感じている。
今回の痛みは「ぎっくり腰」のように動けなくなる強い痛みではなく、車の運転など長時間座っていると徐々に悪化。
長時間座ったあとに腰の真ん中がズキズキと痛み、次第に範囲が広がる。
車を降りて身体を捻ったり軽く動かしてごまかしながら生活している。
トレーニングにも支障が出ているため困っている。
下肢への放散痛や痺れはない。
過去に整形外科でレントゲン検査を受けたが、特に異常は指摘されなかった。
検査・治療方針
筋肉量が多く、トリガーポイントの触診は困難だった。
痛みの部位やパターンから腰部多裂筋にTPが形成されていると判断し、鍼先の感触と認知覚(ズーンと痛みが再現すること)を頼りに治療を進めた。通常より長めの鍼(2寸–3番:約6cm)を使用し、関連する中殿筋も併せて治療した。
治療の経過
1回目:痛み 10 → 5。筋トレができるレベルまで改善。ただし長時間の車の運転や朝の重だるさは残る。
3回目:痛み 5 → 0。腰の痛み・重だるさは消失。日常生活も問題なく送れるようになる。
考察
腰部多裂筋は背骨を安定させる重要な筋肉で、立ち上がる・体を捻る・物を持ち上げるといった動作で常に働いています。そのため、疲労の蓄積や繰り返す負担でトリガーポイントが形成されやすく、慢性的な腰痛やぎっくり腰の原因となることがあります。
多裂筋は深部に位置するため電気治療やマッサージのような表層からのアプローチでは十分に届かず、改善しにくいケースもあります。鍼治療はこうした深部筋に直接アプローチできるため、今回のような慢性腰痛に効果を発揮します。